ガリレオが望遠鏡を天空に向けてから400年「国際天文年」ということで
年初めは宇宙関係でいきましょう。
◇住 高度400キロの軌道に
ISSは、地上から約400キロ上空の軌道を約90分で1周する。無重力状態で空気はほとんどない。太陽光が当たる場所と当たらない場所の温度差は270度。サッカー場ほどの大きさで、米国、ロシア、日本など15カ国が参加する。日本は実験棟「きぼう」などを開発。常時、2~3人の宇宙飛行士が約半年交代で滞在しているが、春から6人体制となる。
ISSの外壁は頑丈なアルミニウム合金で作られ、内部の気圧は地上と同じ1気圧に保たれている。酸素は地球から運んだものか、水を電気分解して生成。動力は太陽電池パネルで発電する。寝室、トイレ、トレーニング場所など飛行士が健康に暮らすための設備も整う。98年に建設が始まり、2010年に完成する予定。
◇暮らし 尿を飲料水に再生
東京都民1人あたりの家庭での水使用量は1日241リットルだが、ISSでの飛行士1人あたりの水使用量は1日3.5リットル。体はウエットティッシュでふき、水のいらない特殊なシャンプーで髪を洗うなど使用量を極力減らしている。というのも水を確保する手段が限られているためだ。現状では3.5リットルのうち、2リットルを地上から輸送、1.5リットルをエアコンで除湿した水をフィルターにかけて再生している。
長期滞在に向け、尿を飲料水などに再生する装置(WRS)を米航空宇宙局(NASA)が開発し、昨年11月にISSに持ち込んだ。これまで尿は補給船に貯蔵し大気圏突入時に燃やしていた。トイレで掃除機のホースのような管で尿を集め、遠心分離器のような装置にかけて、何段階にもフィルターを通して浄化する。WRSが稼働すれば、1.3リットル分を供給できるという。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の足立昌孝・有人宇宙環境利用ミッション本部主任は「災害時にも役立つはずだ」と話す。
◇食 人気が高い日本食
食事はロシアと米国が半分ずつ供給し、約300品ある。飛行士が地上で試食し、献立表を作成している。若田さんの長期滞在に合わせ、JAXAが「12カ月間常温保存で品質が保たれる」などの基準を設け、「宇宙日本食」を募集。07年に11社28品が認定された。外国人飛行士にも人気が高いという。
このうち、「サバのみそ煮」「イワシのトマト煮」などは「マルハニチロホールディングス(HD)」が開発。4層構造の特殊なパウチに入っている。同社は「300度の水蒸気でサバを焼き、魚臭さも飛ばした。開封時に液体が飛散しないよう汁に粘性を持たせた」と説明。無重力状態ではたんぱく質やカルシウムが失われ、骨がもろくなりやすい。骨ごと食べられる魚を選んだ。
カレーはビーフなど3種。開発した「ハウス食品」によると、辛さは同社レトルトカレーの5段階のうちの4段階に当たる。閉鎖された空間で過ごした人に食べてもらったところ、辛い方が人気だった。宇宙では味覚が鈍くなるという。
非常食メーカー「尾西食品」はご飯類4種が認定された。担当した伊藤秀朗さんは「おにぎりに焼きのりを付ける予定だった。しかし、のりくずが飛散すると、船内の機器に影響が出る恐れがあり断念した」と打ち明ける。
<宇宙日本食>
たまごスープ=味の素▽白飯、赤飯、山菜おこわ、おにぎりサケ=尾西食品▽トマトケチャップ、野菜ソース、野菜飲料ゼリー(トマト、ニンジン)=カゴメ▽マヨネーズ、白がゆ=キユーピー▽ラーメン(しょうゆ、シーフード、カレー)=日清食品▽カレー(ビーフ、ポーク、チキン)=ハウス食品▽サバのみそ煮、イワシのトマト煮、サンマのかば焼き=マルハニチロHD▽粉末緑茶、粉末ウーロン茶=三井農林▽ようかん(小倉、くり)=山崎製パン▽黒あめ、ミントキャンディー=ヤマザキナビスコ▽わかめスープ、吸い物=理研ビタミン
◇衣 ハイテク日用服で
普段着と言っても何でも着用できるわけではない。静電気や有害ガスが発生しない▽燃えた際に溶けて皮膚に張り付かない--などの条件があり、NASAやロシア宇宙庁の指定リストから決められた枚数を飛行士が持参。水は貴重で洗濯はできない。衣服は使い捨てにされる。
現在は綿100%の衣服が主体だが、綿は汗を吸うと重くなり、乾きにくい。JAXAは、多屋淑子・日本女子大教授を中心とした産学チームと共同で、化学繊維を使ったハイテク日用服を開発。このうち、下着は「1週間着用」を目標に、ポリエステルに抗菌・防臭作用のある銀をめっきした繊維で作った。実際に1週間試したJAXA産学官連携部の肥後尚之主任は「においや不快感はなかった」と言う。
無重力状態では筋肉の衰えが早く、飛行士には1日約2時間の運動が課せられている。その際に着る上下の運動着も開発した。脇と背中にメッシュを入れ、通気性を高めた。汚れがたまったり、繊維くずが出やすい縫い目をなくす加工も施してある。
◇心 ストレス解消大切
狭い閉ざされた空間に異国の宇宙飛行士たちと長期に生活すると精神的なストレスが生じやすい。45分ごとに昼夜が交代し、睡眠リズムが乱れやすい。
宇宙飛行士は1日8時間実験や点検、整備など決められた仕事をするが、就寝までの時間や週2日の休日は地上から持っていった好きな音楽を聴いたり、本を読むこともできる。宇宙から眺める地球や星はとても美しいという。だが何と言っても、一番のストレス解消は家族との交信のようだ。飛行士は週1回、地上の家族や友人と画面上で面談できる。
地上で若田さんの健康を支えるのはJAXAの立花正一宇宙飛行士健康管理グループ長ら11人。フライトサージャンと呼ばれる専門医のほか、精神心理、看護師、筋力トレーナーらで構成する。飛行中は尿や血液検査の数値などをもとに週1回、問診するほか、2週間に1回、精神状態をチェックする。
毎日新聞HPよりhttp://mainichi.jp/select/science/news/20081229mog00m040035000c.html?inb=yt